vol.05 加算を主目的とするのではなく患者さん本人の目標を軸とした支援を
住友病院地域医療連携部副看護師長の上田千鶴子さんは、「マンパワーが足りず、すぐには退院支援加算の取得は無理なのですが、いつでも対応できるよう退院支援の能力をあげようと取り組んでいる」と話します。患者さんの“思い”を中心とした退院支援のありかたについて、上田さんに詳しくうかがいました。
取材先:一般財団法人住友病院
- ●病床数499
- ●平均在院日数14.8日
病棟との協働による退院支援体制
大阪の中心地である大阪市北区は、大規模な都市型総合病院をはじめとした医療機関が数多く集まるエリアです。その中で住友病院は、北区の西端に位置しており、西部の医療圏と隣接しています。
「それでも立地上、北区の中心にある有名病院のような“地域に根ざした”という感じではないかもしれません」と上田さんは話します。患者さんの居住地は広範にわたり、住友病院が属する大阪市北部医療圏のみならず西部医療圏からの患者さんや、西宮市・宝塚市といった府内衛星都市からの来院も多いそうです。
退院支援を担う医療福祉相談室には、退院支援看護師が2名、ソーシャルワーカーが2名在籍しています。職種間で連携をとり、転院・在宅の両ケースに全員が対応。相談室全体では年間で約260件(昨年)の退院支援を行っています。
支援対象となるのは、病棟カンファレンスおよび退院支援カンファレンスにて抽出された退院困難者です。退院支援カンファレンスは9病棟中4病棟で週1回行っており、医療福祉相談室のメンバーが参加することで、退院困難者の早期抽出を図っています。退院困難事例ではない、入院前から利用している医療・介護サービスを継続利用可能といった患者さんの場合は、病棟看護師が退院に向けた手配を行います。