第25回 プライベート看護を「すぐ利用したい」|詳細
- ■目 次
- 1.ご利用までの経緯
- 2.訪問スタート
1.ご利用までの経緯
Kさんは80歳代後半男性。80歳を過ぎても元気に趣味の旅行を楽しまれていましたが、ある時体調不良を訴え入院。検査の結果、末期の肝臓がんでした。体力は急激に衰え、眠っている時間が次第に長くなり、余命について医師から「1週間くらいだろう」との宣告を受けました。「最期は自宅で迎えたい」と以前から話していたKさんの希望を叶えるために、ご家族はなるべく早く退院することを決心。医師の宣告から3日後の退院を目指して準備を始めました。
ご家族は排泄や体位交換などの手技指導を受けましたが、奥様、娘様ともに介護経験が無く、手技に強い不安を感じました。手技の問題だけでなく、元気だったKさんの状態が急激に悪化したことによる精神的ショックも不安を増大させたようです。自宅の療養環境(在宅医、ケアマネジャー、訪問看護ステーションの手配、物品調達など)は順調に整いましたが、ご家族の不安は晴れません。退院予定日の前日、不安が募るご家族は病院ソーシャルワーカーに相談。ソーシャルワーカーから、長時間滞在の可能なプライベート看護サービスの紹介を受け、早速問い合わせました。
問い合わせを受け、当社看護師はすぐに病院を訪問しご家族、ソーシャルワーカーと面談。ご家族は、在宅医や訪看ステーションが訪問する日中に比べて、夜間の看護に不安を感じていました。夜間の不安解消と睡眠時間の確保のために「夜間帯の看護師滞在、翌日の退院日から毎日の利用」を希望されました。ご家族の希望に対し、当社看護師は「準備期間が短く看護師の手配が間に合わず、訪問できる日とできない日が混在する可能性がある」ことを説明。ご家族は「それでも構わない。訪問できない日は家族で何とか対応するから、可能な限り来てほしい」と話され、正式にご依頼をいただきました。
事前準備として、当社看護師は病室を訪問し、Kさんにご挨拶させていただきました。病室で病棟看護師からケアの仕方や注意点のレクチャーを受けたほか、医療情報の提供を受けました。主治医には、ソーシャルワーカーを通じて看護指示書の作成をお願いしました。
2.訪問スタート
退院当日、Kさんが自宅に到着した際に在宅医、ケアマネジャー、訪問看護ステーション看護師が集まり、Kさんの療養についてご家族と話し合われました。当社看護師も事前準備の一環として同席し、認識を共有しました。
退院当日の夜から当社看護師は訪問。23時から翌朝6時まで、見守り、体位交換、オムツ交換、モーニングケアをご提供しました。ご家族へのサポートとして、「身体をさすってあげても大丈夫か?」など、療養上の様々な疑問にお答えしました。
看護師の手配については、3日目の看護師がどうしても手配できずご家族が夜間の看護を行いましたが、退院当日、2日目、4日目以降は看護師の手配が整いご希望通りのスケジュールを組みました。
Kさんは、退院当初は声かけに反応があったものの、2日、3日と過ごすうちに反応が少なくなりました。状態は徐々に低下し、退院から6日目の午後に奥様、娘様夫婦、集まったお子様やお孫様に囲まれて永眠されました。
後日、看護師が弔問にお伺いした際に、ご家族より「本人が最期まで穏やかに過ごせて本当によかった。私たち家族も、不安な気持ちもあったけど、穏やかに向き合うことができました。診療所の先生や看護師さん達のおかげです、本当にありがとうございました」とのお言葉をいただきました。
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看護師手配にかかる時間は、ご依頼時の状況やご依頼の内容によって大きく異なります。
上記事例は、参考事例としてご覧ください。
完
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