第19回 対象者様の生活に合わせたサポート
弊社へのご依頼の中にはご依頼時間が早朝や夜間にかかるケースがあります。看護師の手配は付きにくい時間帯ではあるのですが、対象者様、ご家族様の抱える事情を伺うと尤もだと思う場合が少なくありません。
本事例は、70代の時に事故で半身不随となった80代の女性のケースです。都内自宅でリハビリに励みながら二人の娘さんの世話を受けています。生活上の一番の問題は排便のコントロールが困難なことでした。下剤を内服しても自然な排泄が見られず、腹痛に悩まされる日々でした。そのため食事も摂れず、予定しているリハビリものびのびになってしまい、その結果生活パターンが乱れてしまうという悪循環でした。
体調を整え、万全な状態でリハビリを受け、その結果日常生活レベルのアップを目指すことが何よりの希望でしたから、対象者様にとってもご家族にとっても「対象者様の生活に合わせた排泄のケア」が最重要だったのです。
この事例の基本情報
対象者とそのご家族の基本情報
対象者 | 女性、80代前半、脊髄損傷 認知症 不安神経症 |
ご家族 | 近隣に住む2人の娘さんが交代で面倒を見ている。 平日は通いのヘルパーがいる。 |
---|---|---|---|
対象者の 状態 |
寝たきりの状態。移動は常に車いす。食事などはセッティングすれば食べられる。 |
ご要望
・リハビリを生活の柱にし、歩行ができるようになりたい。
・リハビリが万全の態勢を受けられるように排泄の管理をして欲しい。
・精神的不安を和らげて欲しい。
本事例のポイント
・毎日早い時間帯からのケア。
・決まった看護師が毎日訪問することで得られる精神的安定。
看護の内容
・毎日朝8:00-12時で訪問し全身状態のチェック、腹部マッサージ、浣腸、清拭、着替え、車イスでの散歩、外出時の付き添い、理学療法士との連携などを実施しました。
サポートの結果
早めの時間から訪問し、腹部マッサージや浣腸など時間をかけてしっかり排泄のケアを行うことで毎日のリハビリが順調に進み、立位がやっとであった状態が介助で歩行できるまでレベルアップされました。
不安神経症の既往のあるご対象者様に対し看護師たちは話し相手となり、コミュニケーションを図っていきました。その結果精神の安定をもたらし、看護師の訪問を心待ちにされるようになりました。「毎日必ず訪問してくれる」「なんでも相談できる」という安心感、自分の生活パターンにあった看護師の訪問が自宅療養を送りながらリハビリ効果を挙げるという成果につながったケースだと思います。
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