いつまでも元気に一人暮らしを続けたい(目次)
1.はじめに
本ケースでは、血糖値管理をはじめとしたご本人の状態管理が看護師の主な役割となります。一般的には必ずしも看護師が介入しなくてもよい段階から入ることで、状態の維持向上を図ることが可能になったケースです。看護師の持つアセスメント力は、医療項目、治療項目だけに活かされるわけではなく、生活全般の食事、運動、排せつ、睡眠、これら全てを健康状態向上のために役立てることができます。
2.生活サポートも看護師がやる
栄養バランスが課題となっていたため、家政婦さんが作る食事から、栄養士が管理した宅配食に切り替えることを提案しました。今はとてもたくさんの種類がありますので、ご本人の好みも考慮しながら、何種類かを提案させていただきました。試す中で、ご本人も気に入るものがあったため、継続して利用するようになりました。これに合わせて、ご家族の要望で家政婦さんの介入をやめ、生活サポートも全て看護師が行うようにしました。簡単な家事から食事介助、それら生活全般にわたって介入することで、24時間看護師が看守る体制としたのです。
3.日常の細かな健康管理
24時間看護師が側に居る状態は、ご本人にとってもストレスになる可能性があったため、距離感を大切にしました。居室にはナースコールを設置し、お一人の時間も設けるようにしています。それでいながら、ご本人の様子はよく把握できるため、状態管理は細かな部分まで可能となります。食事、運動、排せつ、睡眠、生活の全般にわたり、ご本人の状態を把握し、状態管理に役立てます。
4.入院時も普段のスタッフが付添う
できる限り在宅で過ごすことは目標ですが、短期的に入院した方がよいと判断するのも、普段のアセスメントが効果を発揮します。本人の状態変化を主治医に伝え、相談の上、入院を決定することもあります。その場合は、入院中の病室にスタッフが付添い、ご自宅での状況と大きな変化がないようにします。状態が回復すればまた自宅に戻りますから、切れ目のないケアを実施するためにも効果を発揮します。
5.できる限りご自宅で過ごす
このようにして状態管理、健康管理を行いながら、できるだけご自宅での生活を継続できるようサポートしています。マンツーマンの看護によってきめ細かな管理を行い、それでいながらご本人のストレスや負担にならないように付添う。非常に難しいことですが、ご本人との信頼関係を大切にしながら、各スタッフが最善を尽くすことで実現しています。
完
その他の利用事例
- 第28回 遠方の病院への転院
- 第27回 遠方で行われる結婚式への出席
- 第26回 ご家族の睡眠をサポートする「夜間の在宅看護」
- 第25回 プライベート看護を「すぐ利用したい」
- 第24回 他事業所の「家政婦」「ホームヘルパー」サービスとの併用
- 第23回 毎月1回の定期訪問–お母様外出中の娘様の看護‐
- 第22回 通院付き添い-「定期通院」と「入院中、別の病院で受診」‐
- 第21回 有料老人ホームでの看護-医療依存度が高い方の入居をサポート‐
- 第20回 これから在宅介護をはじめるご家族の不安を軽減〜 退院直後の集中サポート 〜
- 第19回 対象者様の生活に合わせた介入
- 第18回 いつまでも元気で独居を続けたい
- 第17回 疾患を抱えてもずっと自宅で過ごせるように
- 第16回 呼吸器のリハビリを通してQOLを高める
- 第15回 入院中のリハビリを在宅でも
- 第14回 100歳を目指してリハビリ ~残された能力を最大限に~
- 第13回 最後まで自立した生活を ~認知症の母に娘が望むこと~
- 第12回 介護者不在時の代替看護 ~難病と向き合う家族~
- 第11回 住み慣れた自宅への帰宅 ~入院中の一時帰宅~
- 第10回 沖縄への2泊3日の船旅 ~転院時の看護師付き添い~
- 第9回 娘さんに生まれてきた余裕 ~退院直後の家族支援~
- 第8回 新郎の母を結婚式に参加させたい ~結婚式の看護師付き添い~
- 第7回 末期がん患者と親友との最期の温泉旅行 ~病院からの一時外出~
- 第6回 ご自宅での看取り看護 ~早朝・夜間・深夜の長時間看護~
- 第5回 “食べたい”欲求が強い母 ~自宅での糖尿病の治療~
- 第4回 無理をしすぎない家族の介護 ~昼間一人きりになる患者さんの訪問看護~
- 第3回 「最期まで夫を看てあげたい」 ~がん終末期の訪問看護~
- 第2回 「奥様が歩けるようになりました!」 ~自宅でのリハビリ~
- 第1回 「わたしだけの看護師が欲しい」 ~難病患者の精神面の看護~