入院中のリハビリを在宅でも(詳細)
1.はじめに
できるだけ早いタイミングでリハビリを実施し、早期退院の実現と退院後もできるだけ早く自立した生活を送るための準備に活用いただいている事例です。
2.入院後の体力低下
高齢になると、普段元気な方でも、ちょっとしたきっかけで寝込んだり、入院したりするケースがあります。本ケースは風邪をこじらせて入院されましたが、風邪が治っても入院生活によって低下してしまった体力はなかなか元に戻りません。ご家族としては自分たちもリハビリに協力したいがどうすればよいのかわかりません。そこで、医療の専門家である看護師に家族の代わりにリハビリを実施してもらうことを考えました。
3.病棟との連携
病棟では理学療法士がリハビリを実施します。場合によっては毎日リハビリが行われることもあります。しかしリハビリというのは、理学療法士が決めたメニューを実施するだけではありません。体力が低下した高齢者にとっては、毎日の生活の諸動作ひとつひとつがリハビリになるのです。
4.効果が見えてきた
理学療法士によるリハビリが週1回、弊社看護師によるリハビリが週2回、合計3回のリハビリを継続しました。開始時点では言動に少しおかしなところが見られたり、記憶が混乱していたりということが散見しましたが、約2か月経過した頃から、状況が変わり始めました。しっかりとご自身の状況を把握することができるようになり、希望も口にされるようになってきました。体力の回復が意識状態にも良い影響を与え始めたのだと考えられます。
5.自宅への試験外泊
対象者ご本人の口から、「一度、家に戻ってみたい。」との希望が聞かれるようになり、主治医の判断により、試験外泊を行うことにしました。病室でも夜間はよくお休みになられているため、ご家族と相談して、お昼間の時間帯に弊社看護師が付き添い、夜間帯はご家族で対応することにしました。外泊中に付き添う看護師は、普段病棟でのリハビリを行っている弊社看護師ですから、ご家族としても安心のご様子。さらに弊社看護師が事前にご自宅を訪問し、居室のベッド位置や動線の確認をし、安全確保を図ります。外泊当日は、久々の自宅に戻られ、ご本人もリラックスされ、訪問されたお客様の対応などもこなされました。病院とご自宅との往復にも弊社看護師が付き添いますから、病棟からの申し送り、そして外泊中のご様子の病棟への申し送りも万全です。ご本人もご家族も、初回の外泊で自信を付けられたようで、2回目、3回目と外泊を繰り返し行うようになりました。
6.退院を見据えて
外泊を繰り返しながら、徐々に体力も回復されてきたことから、主治医からはそろそろ退院の話も出始めています。ご本人は退院後もしばらくは弊社看護師が自宅でも付添うことを希望されていますが、体力の回復とともに、それも必要なくなるでしょう。このケースでは早い段階でリハビリの回数を増やしたことが、早期の体力回復、ADLの回復につながったものと思われます。必要と思われるところに思い切って医療従事者を介入させるというご家族の判断が素晴らしかったと思います。
完
その他の利用事例
- 第28回 遠方の病院への転院
- 第27回 遠方で行われる結婚式への出席
- 第26回 ご家族の睡眠をサポートする「夜間の在宅看護」
- 第25回 プライベート看護を「すぐ利用したい」
- 第24回 他事業所の「家政婦」「ホームヘルパー」サービスとの併用
- 第23回 毎月1回の定期訪問–お母様外出中の娘様の看護‐
- 第22回 通院付き添い-「定期通院」と「入院中、別の病院で受診」‐
- 第21回 有料老人ホームでの看護-医療依存度が高い方の入居をサポート‐
- 第20回 これから在宅介護をはじめるご家族の不安を軽減〜 退院直後の集中サポート 〜
- 第19回 対象者様の生活に合わせた介入
- 第18回 いつまでも元気で独居を続けたい
- 第17回 疾患を抱えてもずっと自宅で過ごせるように
- 第16回 呼吸器のリハビリを通してQOLを高める
- 第15回 入院中のリハビリを在宅でも
- 第14回 100歳を目指してリハビリ ~残された能力を最大限に~
- 第13回 最後まで自立した生活を ~認知症の母に娘が望むこと~
- 第12回 介護者不在時の代替看護 ~難病と向き合う家族~
- 第11回 住み慣れた自宅への帰宅 ~入院中の一時帰宅~
- 第10回 沖縄への2泊3日の船旅 ~転院時の看護師付き添い~
- 第9回 娘さんに生まれてきた余裕 ~退院直後の家族支援~
- 第8回 新郎の母を結婚式に参加させたい ~結婚式の看護師付き添い~
- 第7回 末期がん患者と親友との最期の温泉旅行 ~病院からの一時外出~
- 第6回 ご自宅での看取り看護 ~早朝・夜間・深夜の長時間看護~
- 第5回 “食べたい”欲求が強い母 ~自宅での糖尿病の治療~
- 第4回 無理をしすぎない家族の介護 ~昼間一人きりになる患者さんの訪問看護~
- 第3回 「最期まで夫を看てあげたい」 ~がん終末期の訪問看護~
- 第2回 「奥様が歩けるようになりました!」 ~自宅でのリハビリ~
- 第1回 「わたしだけの看護師が欲しい」 ~難病患者の精神面の看護~