家族の精神的なケアも含めた看護を行った事例
これは長くがんと闘っていたCさん夫妻に、私たちが終末期の訪問看護として関わったときのお話だ。
長い闘病期間中には病状が良くなる時期もあれば、悪くなる時期もある。抗がん剤治療の成績に一喜一憂し、精神的なストレスも大きい。
終末期には、いかに肉体的な痛みと精神的な苦しみを和らげ、最期の時まで安楽に過ごしてもらえるかが看護目標となる。
そして、家族も一緒に悩み迷いながら懸命に看病を行なっていることも忘れてはならない。
患者さんだけでなく家族もケアを必要としている対象者である。
この事例の基本情報
対象者とそのご家族の基本情報
対象者 | 男性、享年75歳 直腸がん・再発・転移 |
ご家族 | 奥様が同居 |
---|---|---|---|
対象者の 状態 |
直腸がん手術後に再発し周辺臓器へも転移。排泄障害のため人工肛門、腎ろうとなる。対象者は精神的に不安定な状態 |
ご要望
患者さんは自宅へ戻ることを強く希望。
奥様もご主人さんの希望を叶えてあげたいと思っていたが、
長年の看病で奥様にも疲労が蓄積しており、第三者の助けが必要であった。
当社が提供した看護ケアの内容
バイタルサインチェック(体温、脈拍、血圧など)、ストマ(人工肛門の便を溜める袋)交換、直腸への薬剤注入、腎ろう部のガーゼ交換、保清、痛みの緩和や精神的なリラックスのためのマッサージなど
・人員 看護スタッフ2名が交互に訪問 ・時間 1回4時間 ・期間と回数 週4回、8ヶ月間
本事例のポイント
体や心の痛みを取り除く緩和的ケア
治癒の見込みが無いがんの終末期の看護では、これまでのように身体に負担をかける積極的な治療ではなく、肉体や精神的な痛み・苦しみを少しでも取り除いて、残された期間をできるだけ安楽に過ごしていただくためのケアが必要になる。
患者さんの状態が悪化する過程においては、奥様を精神的に支えることも重要であった。
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