札幌の訪問看護事情
北海道の人口の3割が暮らす東北でも大規模な都市、札幌。2011年の国勢調査によると、全世帯の65歳以上の割合は20%ほどと高齢化を迎えています。高齢化が進む都市部、札幌市の訪問看護への取り組みを見ていきましょう。
自宅で身動きができない方への介助
訪問看護を軸に、札幌市では自宅で寝たきりの方などに対しての補助的なサービスが行われています。ひとつは訪問式の入浴サービスです。10%の負担はかかりますが、直接入浴者が訪問してくれるため、自宅にいても安心して入浴することができます。さらに、寝具の洗濯乾燥のサービスもあります。こちらは完全にフリーで利用することができます。年2回の利用で、重度の障害が認められる場合に限った利用になりますが、普段寝たきりで寝具の洗濯などを容易に行えない利用者にとって便利なサービスが提供されています。このように札幌市では訪問看護利用者向けのサービスが展開されており、患者に優しい街づくりが行われています。
バリエーションのある相談が受けられる
また札幌市で特徴的なことは、医師などの専門家が患者からさまざまな相談に無料で応じている点です。必要があれば、医師や看護師のほか、保健士や理学療法士が直接訪問して、患者の相談に応じるネットワークが構築されています。例えば、訪問看護を受けていて理学療法士などの専門の相談を受けたくても費用の面を考えてしまうものです。しかし、それぞれの相談場所に相談することで、無料でカウンセリングを受けることができます。患者はもちろん、中には患者の家族ができる相談もあるため、家族や本人の負担や精神的な不安を少なくすることができるのです。札幌市では、患者や医療専門職などの方との連携も市で取り持っています。
訪問看護事業所にも寛大な処置
札幌市では、今後高齢化社会にともないニーズの広がりが予測される訪問看護サービスを充実させるために、患者にだけでなく事業所にも働きがけを行っています。働きがけのひとつが、サテライトの設置の許可です。サテライトとは、小規模なオフィス、つまり訪問看護では出張所のような施設です。サテライトが設置できるようになったことで、訪問看護の事業拡大を図ることができるようになりました。全国的にも広がりをみせているサテライトですが、札幌市を含め北海道は全国的にもサテライトの届出を行っていること業所が多いです。道内の取り組みとして訪問看護の誘致を積極的に行っていることが伺えます。
札幌市では、訪問看護に対して患者の視点だけでなく、事業所側の視点からも積極的な取り組みが行われています。今後の訪問看護のあり方も、現時点の取り組みをベースにして拡大が予想できるのではないでしょうか。