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vol.01 緊密な地域ネットワークで自宅退院を推進

退院支援から地域連携につながる取り組みの先進事例を紹介するレポートシリーズ。
今回紹介の東京慈恵会医科大学葛飾医療センターは、積極的な地域連携の働きかけによって、質の高い退院支援を行う施設として定評があります。同センターの入退院医療連携センター・退院調整看護師の秋葉博子さんにお話をうかがいました。

取材先:東京慈恵会医科大学葛飾医療センター

  • ●病床数356
  • ●平均在院日数11.9日

「帰りたい」という気持ちを考えるところからPFMを構築

東京慈恵会医科大学葛飾医療センターで退院支援への取り組みがスタートしたのは約8年前。病院のリニューアルによって、診療科ごとの病床配分ができなくなり、病床数の減少を含めた病床稼働についての再検討が必要になったことが契機になりました。
「そうした状況を受けて、PFM(ぺーシェント・フロー・マネジメント)の導入を考えたのです。PFMとは、中央での病床管理によって病床の効率的な運用を図り、患者の流れをスムーズにするシステム。看護師がもつ豊富な患者情報を生かし、入院前から退院後も含めた一貫した支援の管理を目指しました。そして病床稼働だけを目的にするのではなく、患者さんやご家族の『帰りたい』という気持ちを看護師が考えるところから仕組みを構築していこうと意思統一しました」

つまり同院のPFMは、「患者さんがどのように生きたいのか」「どう生活していきたいのか」を具現化するためのシステムとして構築されました。そして、仕組みを導入していく中で欠かせないのは医師の協力と看 護師の教育でした。
「最初にソーシャルワーカーから退院支援について学ぶ場を設置。患者さんの入院時から退院の状況を見越し、同時進行で看護師によるベッドコントロールを始めました。それを管理する拠点として『入退院医療連携室』に9人の看護師を配置し、入院時の『PFM面談』と退院支援を行うチームを組織。ただし医療連携室の中だけで完結してしまうと、看護部全体に考えが行き渡りませんから、各病棟から看護師が医療連携室に出向き、PFM面談や退院支援のカンファレンスに参加しながら、自部署の患者支援に役立てていく仕組みを作りました。一方で退院支援の担当看護師が曜日を決めて病棟の患者カンファレンスにも参加し、実際の退院支援を行っています。

その過程の中で、ベッドコントロールの権限を看護部に委譲してほしいと先生方にお願いしました。最初は『なぜ看護師が退院の日まで決めるのか』と反発もありましたが、権限の移譲によって先生自身が手術や治療に専念できることが分かり、看護師が介入するメリットを理解してくれるようになりましたね」
なお、2016年の診療報酬改定で、退院支援加算が新設され、配置基準・算定要件が変更になりました。同院は、そのために新たな取り組みをするわけでなく、これまでに築いてきた教育や、現在稼働している仕組みを活かす形で概ね算定要件を満たせる見込みですが、配置基準については満たす必要があり、その対応準備を進めているとのことです。

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