家族の生活を犠牲にしない、無理をしない介護を志向したご家族の事例
「介護疲れ」や「介護うつ」が深刻な社会問題になっている。
介護する家族が余裕を失うと、本当に心がこもった介護をしてあげることはできないだろう。
どうすれば「無理をしすぎない家族の介護」を実践できるのか?
今回取り上げるご家族の事例では、ご主人が"介護チームの司令塔"として家族に介護をうまく振り分けていた。そして障害を持つ奥様と過ごす時間を何よりも大切にされていた。
一方で、家族にできないことは割り切って外部の介護サービスを上手に活用していた。
この事例には家族の介護への関わり方について、よいヒントがたくさん含まれていると思う。
この事例の基本情報
対象者とそのご家族の基本情報
対象者 | 70歳代・女性、脳腫瘍術後。 | ご家族 | ご主人、70歳代 |
---|---|---|---|
対象者の 状態 |
手術後、抗がん剤療法、放射線療法などにより腫瘍の増大は止まったが、体の片側には麻痺が残り日常生活の多くに介助が必要な状態となった。 |
ご要望
退院後には胃ろうや、たんの吸引などの医療行為が必要になる状況であった。
ご主人はまだお仕事を続けていた為、対象者の奥様を一人にしないように、昼間は自費の訪問看護を利用したい。
当社が提供した看護ケアの内容
体温・血圧・脈拍のチェック、オムツ交換、清拭(週2回は入浴)、スキンケア、更衣、食事介助、補水、胃ろう・栄養注入、薬注入、口腔ケア、たん吸引、移動介助、体位変換、リハビリ、などです。居室やトイレ周りの清掃
・人員 看護スタッフ4名 ・時間 毎日8:00-19:00 ・期間と回数 約半年間
本事例のポイント
1.ご家族の無理をしすぎない介護への関わり
家族の役割は患者さんと一緒に過ごす時間をつくることだと考えていた。
2.奥様とご家族のプライベートタイム
医療処置や介護は主に看護師やホームヘルパーに任せる代わりに、ご家族全員が奥様と一緒に過ごす時間を大切した。
3.思い出の地へ家族旅行
リハビリも順調に進み、久しぶりに家族全員での旅行が実現した。
旅行期間中は看護師2名にて交互に休憩を取りながら、常に患者さんから目を離さないようにした。
その他の利用事例
- 第28回 遠方の病院への転院
- 第27回 遠方で行われる結婚式への出席
- 第26回 ご家族の睡眠をサポートする「夜間の在宅看護」
- 第25回 プライベート看護を「すぐ利用したい」
- 第24回 他事業所の「家政婦」「ホームヘルパー」サービスとの併用
- 第23回 毎月1回の定期訪問–お母様外出中の娘様の看護‐
- 第22回 通院付き添い-「定期通院」と「入院中、別の病院で受診」‐
- 第21回 有料老人ホームでの看護-医療依存度が高い方の入居をサポート‐
- 第20回 これから在宅介護をはじめるご家族の不安を軽減〜 退院直後の集中サポート 〜
- 第19回 対象者様の生活に合わせた介入
- 第18回 いつまでも元気で独居を続けたい
- 第17回 疾患を抱えてもずっと自宅で過ごせるように
- 第16回 呼吸器のリハビリを通してQOLを高める
- 第15回 入院中のリハビリを在宅でも
- 第14回 100歳を目指してリハビリ ~残された能力を最大限に~
- 第13回 最後まで自立した生活を ~認知症の母に娘が望むこと~
- 第12回 介護者不在時の代替看護 ~難病と向き合う家族~
- 第11回 住み慣れた自宅への帰宅 ~入院中の一時帰宅~
- 第10回 沖縄への2泊3日の船旅 ~転院時の看護師付き添い~
- 第9回 娘さんに生まれてきた余裕 ~退院直後の家族支援~
- 第8回 新郎の母を結婚式に参加させたい ~結婚式の看護師付き添い~
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- 第5回 “食べたい”欲求が強い母 ~自宅での糖尿病の治療~
- 第4回 無理をしすぎない家族の介護 ~昼間一人きりになる患者さんの訪問看護~
- 第3回 「最期まで夫を看てあげたい」 ~がん終末期の訪問看護~
- 第2回 「奥様が歩けるようになりました!」 ~自宅でのリハビリ~
- 第1回 「わたしだけの看護師が欲しい」 ~難病患者の精神面の看護~