ホーム職員だけでは不足するケアを、自費のサービスで補った事例
わたしは「不治の病」である。このことが難病患者を精神的に苦しめます。
残念ながら現在の医療水準をもってしても、まだ有効な治療方法が確立していない病気があります。
それでも、患者さんの苦しみが少しでも和らぐことを願い、訪問看護師はできる限りのケアを行なっています。
第1回の事例として、「多系統萎縮症」という難病の患者さんと訪問看護師の心の交流のお話を取り上げます。
この事例の重要なテーマは、「身体面だけでなく精神面を看護するということの重要性」です。
この事例の基本情報
対象者とそのご家族の基本情報
対象者 | 女性、70歳代 多系統萎縮症 |
ご家族 | 有料老人ホームに入居中 |
---|---|---|---|
対象者の 状態 |
要介護5(日常生活能力の著しい低下がみられ意思の伝達も困難な状態。 日常生活全般について全面的な介助が必要。) 寝たきり、口からは食事ができない(胃ろう)、右手と目以外は動かせない状態。 |
ご要望
有料老人ホームにお住まいでしたが少しずつ容態が悪くなった。
このままでは入居を継続することができなくなるため、介護職員の人手が足りない時間帯を、自費の訪問看護がマンツーマンで看護を行なって欲しい。
また、忙しいホーム職員とはなかなかゆっくりと話ができない。患者さんは看護師と時間をかけてコミュニケーションを取ることを希望している。
当社が提供した看護ケアの内容
栄養・水分摂取、食事、オムツ交換、陰部洗浄、手浴・足浴・ベッド上シャワー・洗髪、更衣
・人員 看護スタッフ2名が交互に訪問 ・時間 17~21時(4時間) ・期間と回数 週3日間、約10ヶ月間
本事例のポイント
1. 精神面の看護とはどのようなものか
2. 難病の症状の進行につれて次々と現れる新しい問題にどのように対応していったのか。
その他の利用事例
- 第28回 遠方の病院への転院
- 第27回 遠方で行われる結婚式への出席
- 第26回 ご家族の睡眠をサポートする「夜間の在宅看護」
- 第25回 プライベート看護を「すぐ利用したい」
- 第24回 他事業所の「家政婦」「ホームヘルパー」サービスとの併用
- 第23回 毎月1回の定期訪問–お母様外出中の娘様の看護‐
- 第22回 通院付き添い-「定期通院」と「入院中、別の病院で受診」‐
- 第21回 有料老人ホームでの看護-医療依存度が高い方の入居をサポート‐
- 第20回 これから在宅介護をはじめるご家族の不安を軽減〜 退院直後の集中サポート 〜
- 第19回 対象者様の生活に合わせた介入
- 第18回 いつまでも元気で独居を続けたい
- 第17回 疾患を抱えてもずっと自宅で過ごせるように
- 第16回 呼吸器のリハビリを通してQOLを高める
- 第15回 入院中のリハビリを在宅でも
- 第14回 100歳を目指してリハビリ ~残された能力を最大限に~
- 第13回 最後まで自立した生活を ~認知症の母に娘が望むこと~
- 第12回 介護者不在時の代替看護 ~難病と向き合う家族~
- 第11回 住み慣れた自宅への帰宅 ~入院中の一時帰宅~
- 第10回 沖縄への2泊3日の船旅 ~転院時の看護師付き添い~
- 第9回 娘さんに生まれてきた余裕 ~退院直後の家族支援~
- 第8回 新郎の母を結婚式に参加させたい ~結婚式の看護師付き添い~
- 第7回 末期がん患者と親友との最期の温泉旅行 ~病院からの一時外出~
- 第6回 ご自宅での看取り看護 ~早朝・夜間・深夜の長時間看護~
- 第5回 “食べたい”欲求が強い母 ~自宅での糖尿病の治療~
- 第4回 無理をしすぎない家族の介護 ~昼間一人きりになる患者さんの訪問看護~
- 第3回 「最期まで夫を看てあげたい」 ~がん終末期の訪問看護~
- 第2回 「奥様が歩けるようになりました!」 ~自宅でのリハビリ~
- 第1回 「わたしだけの看護師が欲しい」 ~難病患者の精神面の看護~